痕跡と祈り/メルヴィルの小説世界
(著者)橋本安央

判型 | 四六判上製 |
ページ | 367ページ |
価格 | 3,800円(税別) |
ISBN | 978-4-7754-0248-1 |
Cコード | |
略号 | |
発売日 | 2017年11月20日 |
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- 解説
神なき時代における文学と祈りを主題に据えたメルヴィルの文学世界をめぐる近代小説論。同時代の宗教文化にあって、冒涜的と捉えられたメルヴィルは、海の人であるからこそ、きわめて敬虔な無神論者になるのであった。新訳「ホーソーンと彼の苔」(詳註付)を収録。
- 目次
第1章 棄子(すてご)の夢 『白鯨』I
第2章 エイハブの涙 『白鯨』II
第3章 父の肖像 『レッドバーン』
第4章 自己という謎 『ピエール』
第5章 狂気の鏡 『詐欺師』
第6章 テクスチュアル・クーデター 『ビリー・バッド』
第7章 永遠の風景 『タイピー』
第8章 道化の祈り 「コケコッコー!」
第9章 幻視のゆくえ 「ピアザ」
第10章 痕跡と文学 「エンカンターダズ」
第11章 死の虚空、痕跡の生 「バートルビー」
翻訳 ホーソーンと彼の苔(ハーマン・メルヴィル)- メディアほか関連情報
■『フォーラム』No. 24(日本ナサニエル・ホーソーン協会)に書評が掲載されました
(一部引用)この『痕跡と祈り』の筆者とされる「橋本安央」は、われわれの知る世界の彼ではないかもしれないことに注意しなくてはならない。少なくとも評者は、この書を「橋本安央」の著書として、そして「痕跡」と「祈り」として読んだ。──上原正博・専修大学
■『アメリカ文学研究』第55号(日本アメリカ文学会、2019年3月)に書評が掲載されました
(一部引用)個別の紛争のために祈るには、努力と精査が必要になるが、個別的状況に巻きこまれて真の《祈り》から遠ざかる。普遍性を持った物語と、個別的状況に生きる作者との均衡のうえに世界的文学作品は成りたつのであり、そのバランス感覚を本書は忘れていないのだ。だからこそ、個別の歴史的文脈と微妙な距離を置きながら、各作品論が展開することになる。──髙尾直知・中央大学
■『英文學研究』第96巻(日本英文学会、2019年12月)に書評が掲載されました
(一部引用)著者は、このように近代的主体が自己破滅していくさまを冷徹に解剖しながら、その冷徹な眼差しでもって、〈祈り〉という形の「浄化と救済」をメルヴィルの小説世界に見出していく。──藤本幸伸・山口大学
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