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アメリカン・ルネサンスの現在形

(著者)小田敦子  西山けい子  西谷拓哉  前川玲子  丹羽隆昭  難波江仁美   (編著)増永俊一  

アメリカン・ルネサンスの現在形
判型 四六判上製
ページ 312ページ
価格 3,500円(税別)
ISBN 978-4-7754-0140-8
Cコード
略号
発売日 2007年10月22日

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解説

マシーセンが選出したメルヴィル、ホーソーンらキャノン作家たちが、作品の中でいかに「表現」することで、時代とその社会との関係を結んでいったのかを考察する。ポスト「9・11」の現在にこそ、かつての修正主義者による批判の「再考」を目指す。

目次

序 章 「アメリカン・ルネサンス」の現在●増永俊一 
第一章 F・O・マシーセンの「ルネサンス」●前川玲子 
第二章 エマソンの「マスター・ワード」●小田敦子 
第三章 「成熟」から回顧する「熱狂」──『ウォールデン(Walden, or, Life in the Woods)覚え書き』●丹羽隆昭
第四章 「ディセンサス」を生きる──ホーソーンと時代と表現と●増永俊一
第五章 メルヴィルの小説における死と感傷── 一八五〇年代の短篇に見る反センチメンタル・レトリック●西谷拓哉
第六章 都市の欲望──「群集の人」再読●西山けい子
第七章 共感する「わたし・たち」──ヘンリー・ジェイムズの政治性●難波江仁美 

参考文献 
索引 

メディアほか関連情報

■ 「英文学研究」第86巻に掲載されました

エドワード・サイードがエイハブ船長と白鯨によってアメリカとイスラム諸国の関係を説明した記事も記憶に新しい。果たして、本書『アメリカン・ルネサンスの現在形」は、そうした時代を超えたメッセージの解読に挑んだ研究である。編者の増永俊一氏は序章において「各作家がその表現において模索した『共感』のあり方は、ポスト『9.11』の現在いよいよ切実さを増しているように思える」(12)と、この試みの意義を語っている。(竹内勝徳 鹿児島大学)

■ 「アメリカ文学研究」no. 45 2008に掲載されました

副題にある「芸術と表現(Art and Expression)」はマシーセンにおいて対になった概念であり、たとえば『白鯨』を書き終わって「カタルシス」を感じたメルヴィルについて"[H]e had eased his thoughts by the act of creating so prodigious an artistic structure."(458)とマシーセンが書くとき、行為としての「表現」は「芸術」と結びついている。(中略)副題にある二語の間に強力な分割線を引き、前者をスポッと無視する点に本書の姿勢がある。それが「修正主義」を経たアメリカ文学研究の「現在」を端的に示しているように思える。(堀内正規 早稲田大学)

■ 「英語年鑑」2009年版に掲載されました

増永俊一編著『アメリカン・ルネサンスの現在形』 (2007. 11,松柏社)も、F・O・マシーセン著『アメリカン・ルネサンス』(1941)の修正主義者の論拠を考慮した上で、「アメリカン・ルネサンス」の再読を試みる。本書は2004年度日本アメリカ文学会関西支部大会でのフォーラム「〈アメリカン・ルネサンス2004〉 ──言語表現の現在形」(2004. 12)を核に、フォーラム参加者4名に新たに3名を加えた7名の執筆者が論考を寄せる。同書の趣旨は、いわゆる『アメリカン・ルネサンス』再考ではなく、マシーセンが対象としたキャノン作家たちを中心に、その表現と時代とのかかわりを考察する試みと言う(「序章」1-13)。(別府惠子=神戸女学院大学名誉教授)

■ 日本ナサニエル・ホーソーン協会誌「フォーラム」第13号に掲載されました

本書は、F・O・マシーセンが『アメリカン・ルネサンス-エマソンとホイットマンの時代における芸術と表現』の中で「選び出したいわゆるキャノン作家たちを中心に、その表現と時代の関わりを考察」(2)することを目的とする論集である。序章では、編著者増永俊一氏によって、一九八〇年代以降さまざまな批評的立場から、アメリカ文学研究の金字塔であるがゆえに、『アメリカン・ルネサンス』が受けてきた「毀誉褒貶」(2)の経緯が簡潔にまとめられている。だが、本書が目指すところは、そうした議論に加わることではなく、現在でも依然として価値を失わない『アメリカン・ルネサンス』を「ランドマーク」(8、297)として、ともすればこれまで正当な扱いを受けてこなかった個々の作家たちの「表現」(8)とその共感のあり方に照明をあてることである。(中村栄造=名城大学教授)

■ 「アメリカ学会会報」No. 166 2008 Aprilに掲載されました

本書は、アメリカの文学的独立を宣言したF・O マシーセン著『アメリカ・ルネサンス』(1941)に対する修正主義者の批判を認識しつつも、文学批評界におけるその存在感を認め、19世紀半ばの「アメリカン・ルネサンス」を「ランドマーク」として捉え、その再考を試みたものである。特に、従来の議論でおろそかにされてきた「表現」に注目し、マシーセンが取り上げるキャノン作家を中心に互いに共鳴する「表現」と時代との関係を考察する。(倉橋洋子=東海学園大学)

■ 「英語青年」2008年4月号に掲載されました

新歴史主義を経た後のマシーセン「再生」の動きを、本書誕生の源となったシンポジウムの司会者であり本書の編者でもある増永俊一氏は指摘する(71頁)。そのマシーセンが選んだキャノン作家とポー、ジェイムズを「再考」の対象とし、「時代を視野に入れつつもその[社会との]関係性を作品の『表現』を通して考察する」(12頁)のが本書である。(入子文子 関西大学教授)

■ 「出版ニュース」2008年1月上・中旬合併号に掲載されました

19世紀の半ば、南北戦争前のアメリカ社会を中心に、新たな作家たちの表現を「アメリカン・ルネサンス」と位置づけ、その模索と時代との関わり、文学的営為と地平を今日的に解読する。ここでは、批評家マシーセンの『アメリカン・ルネサンス』(1941年)を〈ひとつのランドマークとして〉視野に入れながら、エマソン、ソロー、ホーソーン、メルヴィル、ポー、ヘンリー・ジェイムズらの作品世界と社会との関係を説く。

■ 「週間読書人」2008年1月18日号に掲載されました。

〈アメリカン・ルネサンス〉の作品は、これまでも多くの研究がなされているが、しかし本書に収められた個々の論文は、まさにレヴィンがマシーセンを評価した言葉を借りれば、「精読」と「審美的・社会的コンテクスト」を調和させることによって一九世紀文学の多層性を明らかにすると同時に、さらなる研究の可能性があることを示している。(大串尚代=慶應義塾大学准教授)

著者紹介
  • 小田敦子

    1956年生まれ。三重大学 人文学部 教授。研究分野はアメリカ文学。共著書に『アメリカン・ルネサンスの現在形』(松柏社)、『異相の時空間――アメリカ文学とユートピア』(英宝社)、共訳書に『 〈転換期を読む〉エマソン詩選』(未来社)、『スタインベック全集3 疑わしき戦い』(大阪教育図書)。

  • 西山けい子

    1959年生まれ。関西学院大学 文学部 教授。専門分野は専門はアメリカ文学。著書に『エドガー・アラン・ポー ──極限の体験、リアルとの出会い』(新曜社)。

  • 西谷拓哉

    1961年生まれ。神戸大学大学院 国際文化学研究科 教授。専門分野はアメリカ文学、アメリカ映画。著書に『アメリカ文学における幸福の追求とその行方』(共著、金星堂)、『ホーソーンの文学的遺産──ロマンスと歴史の変貌』(共編著、開文社出版)、『アメリカン・ルネサンス──批評の新生』(共編、開文社出版)など。訳書にデイヴィッド・ロッジ『フィクションの言語──イギリス小説の言語分析批評』〈松柏社叢書言語科学の冒険5〉(共訳、松柏社)。

  • 前川玲子

    1952年生まれ。京都大学名誉教授。専門分野はアメリカ文学。著書に『亡命知識人たちのアメリカ』(世界思想社)、『アメリカ知識人とラディカル・ビジョンの崩壊』(京都大学学術出版会)。

  • 丹羽隆昭

    1944年生まれ。京都大学名誉教授。専門分野はアメリカ文学。著書に『恐怖の自画像──ホーソーンと「許されざる罪」』(英宝社)、『クルマが語る人間模様──二十世紀アメリカ古典小説再訪』(開文社出版)、『アメリカ文学のミニマム・エッセンシャルズ』(共編著、大阪教育図書)、『悪夢への変貌──作家たちの見たアメりカ』(共著、松籟社)、訳書にランダル スチュアート『ナサニエル・ホーソーン伝』(開文社出版)。

  • 難波江仁美

    1958年生まれ。神戸市外国語大学 文学部英米学科 教授。専門はアメリカ文学・比較文学。共著書に『アメリカンルネサンスの現在形』(松柏社)、『ヘンリー・ジェイムズ、いま──歿後百年記念論集』(英宝社)、共訳書に『心ひろき友人たちへ──四人の女性に宛てたヘンリー・ジェイムズの手紙』(大阪教育図書)。

  • 増永俊一

    1956年生まれ。関西学院大学 経済学部 教授。研究分野はアメリカ文学・文化。著書に『アメリカンルネサンスの現在形』(編著、松柏社)、『アレゴリー解体──ナサニエル・ホーソーン作品試論』(英宝社)。

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