兄弟喧嘩のイギリス・アイルランド演劇
(著者)岩田美喜
判型 | 四六判 |
ページ | 352ページ |
価格 | 3,500円(税別) |
ISBN | 978-4-7754-0241-2 |
Cコード | |
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発売日 | 2017年3月30日 |
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- 解説
<兄弟喧嘩>というトポスを切り口に中世末期から19世紀末までのイギリス・アイルランド演劇の400 年を通観する壮大な試み。主に長子相続制との関連性で語られてきたこのトポスが実は演劇史上重大な意味を持つことが明らかとなる。
- 目次
はじめに
序章 「創世記」における兄弟の表象
1 「誰があなたの息子になるのでしょう?」──中世後期のキリスト教劇における兄弟と相続
2 『ゴーボダック』における弁論と宿命
3 『お気に召すまま』における「もしも」の効用
4 学者の兄が学ぶべきこと
5 兄を死なせた運命星に感謝せよ──名誉革命期の喜劇におけるアイルランドをめぐる兄弟像の多様化(一)
6 兄を死なせた運命星に感謝せよ──名誉革命期の喜劇におけるアイルランドをめぐる兄弟像の多様化(二)
7 チャールズを探せ──『悪口学校』と『若気の至り』における兄弟像のゆらぎ
8 兄弟をめぐる真空の結節点としての『バートラム』
9 ブーシコーとワイルドの戯曲における、兄弟の終焉の向こう側
おわりに
引用文献・索引- メディアほか関連情報
■ 「週刊読書人」2017年7月21日に掲載されました
初期近代イングランドでは兄弟が社会システムの一部、ゆえに精神的な紐帯とは無縁だったとか。(中略)論述がオープンで風通しがよいのもいい。──阿部公彦 英米文学・文芸評論
■「日本18世紀学会年報」2019年6月に大西洋一氏による書評が掲載されました
■「英米文學」78号(立教大学文学部英米文学専修)2018年に書評が掲載されました
兄弟は自分では選べず、嫌でも付き合わざるを得ない、仲間にも敵にもなり得る「スリリングな人間関係」(322)であるからこそ、文学の題材として面白い。兄弟の物語は、聖書だけでなくあらゆる神話や民話、そして文学作品に描かれてきた。色褪せることのない、普遍的な人間関係の物語だということが、本書を読むと改めて実感される。しかし兄弟 とは、人がこの世に生まれて最初に経験する「社会」でもある。そして芝居は、 詩歌や小説、エッセイなどに比して、より大衆社会に密着した文学ジャンルといえる。とすれば、〈演劇〉における〈兄弟喧嘩〉の主題は、それぞれの作品の背後の社会と時代を逆照射するのに、実に有効な題材であり、切り口ということになろう。本書は鮮やかな手腕でイギリス演劇の四百年間にわたる「兄弟喧嘩」という主題の変奏を、時代背景の変遷とともに描きあげることに成功しているのだ。──牧野美季
- 著者紹介
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