人間になるための芸術と技術
(著者)小野俊太郎
判型 | 四六版 |
ページ | 283ページ |
価格 | 1,900円(税別) |
ISBN | 978-4-7754-0164-4 |
Cコード | |
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発売日 | 2009年12月15日 |
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- 解説
人文学をヒューマニティーズ=人間になるための学問という観点から捉え、デジタル化の時代における新たな変革の可能性を探る。
- 目次
はじめに 人文学は絶滅危惧種なのか
第1部 ひとはなぜヒューマニティーズを発明したか
第1章「ムダな教養でも知識の教養でもなく」
第2章「人文学はどれほど危機的なのか」
第2部 9.11以降のヒューマニティーズ
第3章 「〈トルコ〉の影ーオセロとドラキュラ」
第4章 「聖戦をおこなうのはどっち?文芸批評とネオコン」
第5章 「ネオリベの人文学つぶし 経済学者サマーズの場合」
第3部 半径5メートルからの脱却
第6章 「〈エア〉の感覚とファンタジーの隆盛」
第7章 「ネット社会とマクルーハンの再利用」
第8章 「グーグル的世界を乗り切るために」
第4部 サバイバル技術としてのヒューマニティーズ
第9章 「難解を解きほぐすツールとして」
第10章 「文化の通訳としての人文学」
おわりに あらゆることに逆目をたてる
あとがき グーテンベルクからグーグルへ
引用および主要参考文献- メディアほか関連情報
■ 「電通報」2010年5月17日に掲載されました
ネット社会が普及した中で、時代遅れになったと思われている人文学のパラダイムを転換して、内容を前向きにシフトする提案が本書でなされている。(中略)時間と空間を行き来する著者の博識に説得力があり、新たな知の方向が垣間見える。
■ 「週刊読書人」2010年3月26日に掲載されました
本書でも言及されていることだが、かつて自由に空を飛ぶというイメージが、魔女のような「悪」と結びつけられていた時代もあった。人文学は何と言っても「動」よりは「静」に、つまり定点観測を旨とすることでしぶとく自己保存を果たしてきたのである。「動」にむけての解放が一段落した後、「静」への揺り戻しが起きたときにどんな答えを示せるか、そこに人文学の命運がかかっているとも言えるかもしれない。(阿部公彦 東京大学)
■ 「正論」2010年2月号に掲載されました
いまや大学進学率が平然と五〇%を超えるこの新世紀ニッポンの「人文系」を何の因果か現場で生きざるを得ないめぐりあわせになってしまった知性の現在の心境とある種の覚悟とが、よくも悪くも透けて見える。そこにどのように、どの程度共感するか、できるかが、この本を本当に必要とする読者か否かを切り分けるのだろう。(大月隆寛 札幌国際大学)
■ 「下野新聞」2010年2月12日、「四国新聞」2010年2月16日に掲載されました
「社会におけるミドルの役割をもっと重視すべきではないか」。文芸評論家小野俊太郎さんの「人間になるための芸術と技術」(松柏社)に、こんな言葉があった。
「勝ち組」「負け組」。そんな二分法が横行していて、まるで「中間」が存在しないかのような風潮。だが今、日本に必要なのは人間を二分する思考法ではなく、中間的な人たちの創出、重視ではないかという意見だ。■ 「朝日新聞」2010年1月31日に掲載されました
テクストを改めてじっくり読み直す営みを通じて、その新しい意味を見いだしてゆくこと。『人間になるための芸術と技術』では、そうした過去と現在とを横断する想像力を、人文学が培ってきたのだと指摘している。それは、小説と美術と映画といったような、異質な分野の間に通底する発想を読みとったり、不確かな現実のなかから将来像を描きだしたりする思考力とも、つながってくる。(苅部 直 東京大学)
■ 「週刊金曜日」2010年2月5日に掲載されました
この本は平易な言葉であらゆる人にとって、なぜ人文学が重要であり、それを学ぶことでどのような人間になりうるかを今の政治状況や文化の実状に即して大胆に提起する。まさに「人間になるための」アートである。(本橋哲也 東京経済大学)
■ 「図書新聞」2010年3月6日に掲載されました
(前略)すなわち本書は、人文学について人文学している人文書なのである。このような仕掛けは、狭義の専門書と人文書とを分かつ要衝に位置するものであり、その仕掛けに囚われつつも読み解いてゆく時間の豊饒さは、人文書以外にはけっして提供することのかなわない性質のものであるだろう。(長谷川 一 明治学院大学)
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