別の地図/英文学的小旅行のために
(著者)高橋和久
判型 | 四六判 |
ページ | 307ページ |
価格 | 2,200円(税別) |
ISBN | 978-4-7754-0293-1 |
Cコード | 0098 |
略号 | |
発売日 | 2023年4月20日 |
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- 解説
大きな流れを見てすべてを視野のうちに取り込んでいると考える錯覚は、
滑稽だけれどもつねに愛敬とは限らない。
大きな流れの背後には大抵それに逆行するいくつかの小さな流れが隠されている。
訳者によるオーウェル『一九八四年』論、絵解きが紡ぐ18世紀英文学史、フォースター再評価、ヴァージニア・ウルフの描出話法、バンヴィルの特異性と現代性、20世紀末読書案内、スコットランド人頭税……小説・社会をめぐるスリリングな批評の世界──
- 目次
Ⅰ 侵食する外部
見えない国スコットランド
人頭税のことなど──傍観者の皮相な観察
2015年の『1984』
素朴な小説読者の『一九八四年』──「訳者あとがき」にかえて
Ⅱ 孤立を恐れずに連帯を求めうるか─文学部をめぐって
文学部の教育──問題と課題
文学部を宣伝してみると──手前味噌風味
Ⅲ 二分法では割り切れないもの
『ケプラーの憂鬱』──ジョン・バンヴィル小論
『この世界を逃れて』──グレアム・スウィフトをめぐって
『果てしなき旅』──フォースター的ダブル・ヴィジョンの位相
『女たちのやさしさ』──表象の不安
『ほら話とほんとうの話、ほんの十ほど』──ほんとうは十以上
『めぐりあう時間たち』──「ふつうの日」の「ふつうの心」
『哀れなるものたち』──作家アラスター・グレイのこと
『シークレット・エージェント』──アナキーなアイロニー
英文学史(An English Literary History)の練習──「一八世紀の散文」の章のための助走
Ⅳ 世紀末の読書案内
このへだたりを埋めるもの──ヴァージニア・ウルフの『燈台へ』の三種の訳文に描出話法を学ぶ
伝統派と前衛派の睨み合い──イギリス
在英日本人作家の新作小説──イギリス
「桂冠詩人」の栄光の脇に──イギリス
『オリエンタリズム』
ヴァージニア・ウルフ──女のエクリチュール
「海外進出」が文学に与えた成果
『悪魔の詩』の内と外
残り時間のためのレッスン──カズオ・イシグロ『日の名残り』
別の地図
ネオコロニアリズム、キプリング、サイード──複数の読み・読みかえの位相
弱者への眼差し──アラスター・グレイ『プアー・シングズ』
良い人間と良い芸術家──ジェイムズ・ケルマンの評論集
イギリス文学の現在──その一断面
世界大戦、共産主義独裁、革命、バスケットボール・チーム──ティボール・フィッシャー『蛙の下』
「牧神」に取り憑かれるだけの勇気のない人間は──フォースター雑感
外出を自粛して読むディストピア──E. M. Forster, ‘The Machine Stops’
あとがき
索引
- メディアほか関連情報
■2023年6月23日(金) 19:30~21:30 本屋B&B
高橋和久×河野真太郎「小説のこと、批評のこと、大学と人文学のこと」『別の地図:英文学的小旅行のために』(松柏社)刊行記念イベントが開催されました。多くのみなさまに会場・オンライン参加いただき、盛況のうちに終了いたしました。
https://bookandbeer.com/event/20230623_bcu/
■『図書新聞』2023年7月15日(土曜日)号に書評が掲載されました
(一部引用)一八世紀の女性作家イライザ・ヘイウッドの『過剰な愛』のなかにすらも、「女性はいくらでも嘘がつける」と発言した政治家に対する痛烈な批判の声を聞き取る著者の時代錯誤的=歴史横断的な読み、あるいは、諷刺画家ウィリアム・ホガースの版画の細部の文字にすらも「新種のウイルスさながら」の小説の影響力を見出す精読の冴えに、勇気づけられる思いをしたことはこの場を借りて告白しておきたい。──秦邦生(英文学)
http://www.toshoshimbun.com/books_newspaper/shinbun_list.php?shinbunno=3599
- 著者紹介
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