【西脇順三郎学術賞受賞作】立ちどまらない少女たち/〈少女マンガ〉的想像力のゆくえ
(著者)大串尚代
判型 | 四六判 |
ページ | 259ページ |
価格 | 2,500円(税別) |
ISBN | 978-4-7754-0282-5 |
Cコード | 0090 |
略号 | |
発売日 | 2021年9月13日 |
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- 解説
本書が第5回西脇順三郎学術賞を受賞しました!
アメリカ文学と日本の少女マンガの接点を探りつつ、「アメリカ」という場所が、1960年代から90年代の日本の少女マンガでどのように表象されてきたかをたどる。
「少女マンガ」という枠組みの文化史的意義を再考し、同時に文化受容の重要な媒体であることを、主に1960年代後半から2000年に入った頃までの作品を取り上げて考察し、その魅力に迫る。
- 目次
序 章 女の子はとまらない──少女マンガ、アメリカ、文学
♣それは『キャンディ・キャンディ』からはじまった
♣女の想像力には翼がはえている
第Ⅰ部 アメリカのおともだち──わたしたちのアメリカン・ガール
第1章 アメリカン・ガール誕生前夜──ここではないどこかへ
♣日本の少女小説とアメリカの家庭小説
♣外国文学の翻訳と受容
♣翻訳文学を読む少女たち
第2章 アメリカン・ドリームのゆくえ──どこかでもっとなにかが
♣少女マンガ創世記
♣ロマンチック・コメディ──『すてきなコーラ』
♣関係性のロールモデル──『マリイ♥︎ルウ』
♣差別とアメリカン・ガール──『ブロードウェイの星』
♣愛と自立と職業──『キャンディ・キャンディ』
♣少年というヒロインたち──『カリフォルニア物語』
♣死を受けとめる場所──「アメリカン・パイ」
第3章 手をのばせばそこに──少女たちのたどりつく場所
♣西海岸の異邦人──『エイリアン通り』
♣等身大のアメリカ──『ファミリー!』
♣アメリカ文学との交差点──『BANANA FISH』と『船を建てる』
♣日本への回帰
第4章 東の果ての小さな家──フロンティア・スピリットとかわいい西部
♣西部の伝説──リディア・マリア・チャイルド
♣西部を脱神話化する──マーガレット・フラー
♣荒野の独立宣言──キャサリン・マリア・セジウィック
♣ピクチャレスク・アメリカ
♣女の子のいる西部──ローラ・インガルス・ワイルダー
♣日本に渡ったローラ──日本の少女文化の中の西部
第Ⅱ部 エターナル・ガールズ──少女とマンガを考える
第5章 ハッピーエンドのその先に──永遠のオトメチック性
♣そのままの君でいいと言われるために
♣ハッピーエンドの逆説
♣永遠の少女性
第6章 ぼんやりと考える──吉本ばなな初期作品と少女マンガ的雰囲気について
♣自分が傷ついていたことすら、知らなかった
♣一人ぼんやりと考えること
♣心の声から歌う声へ
第7章 ワンダーウーマンとは誰か?──異邦人としてのアメリカン・ガール
♣ワンダーウーマンの誕生
♣マスキュリニティ再生と守る女性
♣フェミニスト・ユートピア
♣不死鳥としてのワンダーウーマン
註
参考文献
あとがき
雑誌索引
事項索引
人名・作品名・書名索引
- メディアほか関連情報
■【本屋B&Bリアルタイム配信イベント開催】大串尚代×小川公代 「少女の表象が映す英米文学」『立ちどまらない少女たち』刊行記念イベント、ご参加ありがとうございました!
2021年9月16日 20:00~22:00 (19:30オンライン開場)
大串尚代著『立ちどまらない少女たち──〈少女マンガ〉的想像力のゆくえ』の刊行を記念して、著者の大串尚代さんと、『群像』誌上での連載が大きな話題となった『ケアの倫理とエンパワメント』(講談社)を刊行された小川公代さんをお迎えして本屋B&Bさんで対談イベントを開催いたしました。
■【Readin' Writin' BOOK STOREリアルタイム配信イベント開催】大串尚代 × 武田将明「物語の広がるところ──小説とマンガの交差点」『立ちどまらない少女たち』刊行記念
2021年9月25日(土) 11:00 - 13:00
『ロビンソン・クルーソー』(河出文庫)や同じデフォーの書いた『ペストの記憶』(研究社)の翻訳者で、2020年9月にはNHKの人気番組『100分de名著』の講師として、『ペストの記憶』の記述とコロナ禍の現代との類似について話された英文学者の武田将明さんと大串尚代さんに、海外や日本の小説とその他のメディアとの相互関係や、ナラティブ(物語)の魅力や楽しさなどについて、存分に語り合っていただきました。
https://readinwritin2109251.peatix.com/
■『週刊読書人』2021年9月28日に担当編集者による同書の紹介文が掲載されました
■2021年10月23日・24日、madamefigaro.jpに伊藤なつみさんによる著者・大串尚代さんのインタビューが掲載されました
前編:https://madamefigaro.jp/series/music-sketch/211023-book-751.html
後編:https://madamefigaro.jp/series/music-sketch/211024-book-751.html
■2021年11月2日、Real Sound ブックに柳ヶ瀬舞さんによる著者・大串尚代さんのインタビューが掲載されました
https://realsound.jp/book/2021/11/post-894031.html
■THE NIKKEI MAGAZINE Aiのメルマガvol. 282で山崎まどかさんによる本書のレビューが掲載されました
(一部抜粋)「ファッショナブルで豊かなアメリカ文化への憧れを背景とした初期の作品から、よりアメリカのリアルに踏み込んでいった'80年代まで」
■『週刊読書人』2021年11月19日に書評が掲載されました
(一部抜粋)『若草物語』などのアメリカ少女小説と少女マンガの連続性を何となく感じていた少女マンガ読者は決して少なくないとは思うが、本書はそういった読者の実感を改めて深く掘り下げ、そこに少女マンガにとって極めて重要な意味があったことを鮮やかに言語化している。──秦美香子(花園大学文学部教授・マンガ研究・メディア研究)
■『朝日新聞』2021年11月24日、〈文芸時評 少女小説の変遷 想像力の翼を広げる妹たち〉で本書を鴻巣友季子さんに取り上げていただきました
(一部抜粋)なるほど、女性作家によるこれらの小説は少女を“教育”するのではなく、“インスパイア”したのだ
https://book.asahi.com/article/14491184
■『三田評論ONLINE』(2021年11月24日)で著者・大串尚代さんの【執筆ノート】が掲載されました
(一部抜粋)
本書の構想のきっかけは、1997年に始まった「キャンディ・キャンディ裁判」だった。(中略)名木田・いがらし両氏それぞれのウェブサイトで、本作成立に至るまでの見解を読んでいた私は、あることに気づいた。
(中略)この作品を作るにあたり、名木田・いがらし両氏は、『赤毛のアン』を始めとした外国の児童文学作品を、モデルとしていたことがわかった。たしかに同作品には、改めて考えると『赤毛のアン』を始め『秘密の花園』『あしながおじさん』を想起させるモチーフがちりばめられていた。
https://www.mita-hyoron.keio.ac.jp/literary-review/202111-3.html
■『北海道新聞』どうしん電子版2021年11月29日に書評が掲載されました
(一部抜粋)本書の刊行を知った時、「この本は私が書きたかった!」と思った。というのは、まさに少女の頃、北米の家庭小説を読みふけり、それと地続きの感覚で少女マンガを読みふけっていた体験があるからだ。──藤本由香里(明治大教授)
■2021年12月4日付『日経新聞』に著者・大串尚代さんのインタビュー記事が掲載されました
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO78131830T01C21A2MY5000/
■『週刊ポスト』2021年12月10日号に書評が掲載されました
(一部抜粋)むかし、吉本ばなな(当時の表記)の『TUGUMI』を読んだとき、ヒロインのある言葉が『嵐が丘』のヒースクリフとそっくりな気がして驚いたことがあった。(中略)さて、そのミッシングリンクを豊富な読書量と丹念な検証により解き明かしたのが、米文学者・大串尚代による大興奮の本書だ。──鴻巣友季子(翻訳家)
https://www.news-postseven.com/archives/20211130_1710323.html?DETAIL
■『週刊読書人』2021年12月17日〈2021回顧・動向収穫〉の「外国文学 アメリカ」で本書と著者の大串尚代さんが取り上げられました
(一部抜粋)圧倒されると言えば本年の大串尚代である。(中略)そして八月一三日付で亀井俊介『英文学者 坪内逍遙』(松柏社)の書評を執筆し、一〇月には自著『立ちどまらない少女たち 〈少女マンガ〉的想像力のゆくえ』(松柏社)を出版している。大串の卓越した仕事への取り組みには、人を凛とさせるひたむきさ、妥協をゆるさない奥ゆかしさ、と表現すべきものがある。『立ちどまらない少女たち』は戦後の少女マンガを論じることが日本でアメリカ文学を論じることと驚くほど重なる部分があることを辿り、例証していく合わせ鏡的日本/アメリカ文化論である。──長岡真吾(福岡女子大学教授・アメリカ文学)
■『BRUTUS』2022年1月1・15日合併号〈百読本特集〉の綴じ込み「2021年の副読本──世の中を読み解くブックガイド90冊」で萩尾望都『一度きりの大泉の話』の副読本の一冊に取り上げられました
(一部抜粋)少々マニアックですが、アメリカ文学の引用やオマージュの解説に発見があります──南 信長(漫画解説者)
■『月刊MOE』2022年3月号の〈New Books〉で本書が取り上げられました
大島弓子さんの文化功労者顕彰名作紹介も掲載の同号で「大島作品を愛読していた吉本ばななさんの小説に漂う少女マンガ的雰囲気」についての著者・大串氏の考察に触れて下さいました。
■【よはく舎/マルジナリア書店オンライン開催】2022年4月3日18時〜
はらだ有彩『ダメじゃないんじゃないんじゃない』(角川書店)×大串尚代『立ちどまらない少女たち』刊行記念トークイベント「わたしたちが少女だった頃、世界は」が開催されました。
■『三田文學』(2022年4月)に書評が掲載されました
(一部抜粋)学者らしいリサーチと精緻な読みの賜物であり、同時に自分を育て楽しませ慰めてくれた少女マンガへの深い憧憬に包まれていて、サブカルチャー研究の、ある種の理想の姿に見えた。──小谷真理
■『女性学』(2022年、29巻、156-58頁)に本書の書評が掲載されました
(一部抜粋)西部劇の西部が男性性を表象する場合が多いのに対し、テレビシリーズ『大草原の小さな家』で知られるローラ・インガルス・ワイルダーの自伝的小説群は西部に生きる女性たちの生活を中心に置き、西部は伝統の呪縛から逃れて自由に生きる可能性を追求する空間となる。自由の追求と実現というテーマは1979年連載開始のいがらしゆみこによる少女マンガ『メイミー・エンジェル』に引きつがれ、日本とは遠くはなれた架空的世界として西部を出現させる。アメリカの西部フロンティア精神が日本の少女マンガへと連なり、少女文化において少女の主体性の源泉となるという文化的系譜をたどる議論に、ジェンダーを視野に入れる文化研究者であればだれでも心躍ることであろう。 ──伊藤淑子(大正大学教授、専門はアメリカ文化)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/wsj/29/0/29_156/_article/-char/ja/
■立教大学紀要『英米文學』(2023年5月、第83号、9-11頁)に本書の書評が掲載されました
(一部抜粋)本書のタイトルは、マンガ家・水野英子の助言によって再考されたことが記されている(242)。「立ちどまらない少女たち」というタイトルには、今後マンガ読解や批評がますます展開されていくにつれ、アカデミックな視点からの関心もさらに引き寄せるであろう、少女マンガの計り知れない奥深さが示唆されている。いかなるジャンルの文化作品であれ、そこに真摯な愛を注ぐ研究者がいるかぎり、その読解の可能性が立ちどまることはないのである。──小林夕夏
- 著者紹介
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