ゴシックと身体/想像力と解放の英文学
(著者)小川公代
判型 | 四六判 |
ページ | 240ページ |
価格 | 本体2,400円+税 |
ISBN | 978-4-7754-0298-6 |
Cコード | 0098 |
略号 | |
発売日 | 2024年3月25日 |
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- 解説
家父長制に抗う女たちがもちいたものこそ、“ゴシック”の戦術だったのではないか
メアリ・シェリー、アン・ラドクリフ、メアリ・ウルストンクラフト、ウィリアム・ゴドウィン、ロバート・マチューリン、エミリー・ブロンテ、シェリダン・レ・ファニュらゴシック作家たちの作品を読み解く先に見えるものとは──
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- 目次
“ゴシック”という戦術◆序論にかえて
“ゴシック”の政治性
想像力と倫理の二本柱
“ゴシック”という戦術第1章◆ラドクリフ『ユドルフォの謎』──生気論と空想のエンパワメント
「空想」の隠されたラディカル性
「受動的」刺激から「能動的」刺激へ
ヒロインの天賦と生気論
空想の力第2章◆ラドクリフ『イタリアの惨劇』──人権侵害に抗する
フランス革命の余波とゴシック小説の変遷
虚構としての修道院・宗教裁判所
想像力と近代的自己
ラドクリフが描く超自然第3章◆ゴシックにおけるヒロイン像──ウルストンクラフトのフェミニズム
ヴォルニーの自己保存の思想
ウルストンクラフトの『女性の虐待あるいはマライア』
ルーカスの『地獄のキホーテ』とデイカーの『ゾフローヤ』第4章◆ゴドウィンのゴシック小説──理性主義と感受性のあわい
『ケイレブ・ウィリアムズ』──理性と共感のあいだ
ウルストンクラフトの共感──女性・機械・動物
『セントレオン』──多孔的になる自己
ゴドウィンの葛藤第5章◆シェリー『フランケンシュタイン』──バラッドに吹き込む精気
ポリドーリの科学的視点から考察される〈情念〉と〈夢〉
伝承バラッドと幽霊物語
「不実の恋人の物語」として読む
“フェミサイド”の再話としての『フランケンシュタイン』
「怪物」の創造第6章◆マチューリン『放浪者メルモス』──家父長的な結婚を問う
『野生のアイルランド娘』のグローヴィーナと『メルモス』のイマリー
楽園喪失──イマリーとモンカーダの「無常」
マチューリンの急進思想──婚姻の正統性とは?
マチューリンの想像力とは?第7章◆ブロンテ『嵐が丘』──魂の生理学、感情の神学
〈教会離れ〉と〈スピリチュアリティ〉の矛盾
メソディズムの感受性文化──〈国教会〉と〈非国教会〉の矛盾
物質/身体と霊の融合
解き放たれるスピリチュアリティ第8章◆ヴァンパイア文学から#MeTooまで──〈バックラッシュ〉に抵抗する
一九世紀の怪物的なるものと#MeToo
レ・ファニュの「吸血鬼カーミラ」
新しいヴァンパイア
ジャック・クレイトンの『回転』における性の抑圧
恋愛メロドラマからLGBTQたちの声上げへ
アクチュアルなテーマがよみがえる必然性註
あとがき
初出一覧
引用・参考文献
人名・書名索引- メディアほか関連情報
■『週刊読書人』2024年5月3日号(4/26合併号)の1面に「"魔女"たちの戦術と抵抗 『ゴシックと身体 想像力と解放の英文学』(松柏社)刊行を機に」が掲載されました。堀川夢さんによる著者・小川公代さんへのインタビューです。
ウルストンクラフトとゴドウィンは現実世界で家事やケア労働をどう分担したか、それが小説にどう影響したか。時に想像を巡らせることも、批評には必要です。(抜粋)
■2024年4月26日(金)19:30~、twililightにて『ゴシックと身体』(松柏社)&『レディ・ムラサキのティーパーティ』(講談社)刊行記念トークイベントが開催されました。
小川公代&森山恵 “ゴシック”と“らせん”がもたらすもの
■2024年5月15日(水)19:00~、隣町珈琲開催、近内悠太「ケアと利他、ときどきアナキズム」第16回ゲストとして『ゴシックと身体』の著者・小川公代さんが登壇されました。
■2024年6月1日(土)16:00〜17:30、今野書店にて『ゴシックと身体:想像力と解放の英文学』(松柏社)&『女の子たち風船爆弾をつくる』(文藝春秋)W刊行記念トークイベントが開催されました。
小川公代&小林エリカ「目に見えないものと身体」
■2024年6月15日(土)に〈朝宮運河のホラーワールド渉猟〉小川公代さん『ゴシックと身体』インタビュー 家父長制に抗った女性たちの“戦術”が〈朝日新聞デジタル 好書好日〉に掲載されました。
https://book.asahi.com/article/15303807
■『NIGHT LAND Quarterly』vo. 36(アトリエサード発行、2024年7月刊)で岡和田晃様に『ゴシックと身体』を紹介頂きました。
(一部抜粋)……新鮮のはこの観点から、エミリー・ハリス監督の映画『カーミラ 魔性の客人』(2019)を論じていること。これまでの『カーミラ』のアダプテーションに比べて、吸血鬼色を薄め、代わりに「夢」のイメージを強調して重要な意味を与えながら、家父長制の価値観を鋭く批判している点だろう。
■『週刊読書人』2024年7月26日号〈2024年上半期の収穫から 44人へのアンケート〉で三浦麻美様に『ゴシックと身体』をご紹介頂きました。
(一部抜粋)……女性は物語と想像力で家父長制を揺り動かし、救いを見出した。
■『図書新聞』2024年7月27日号〈2024年上半期 読書アンケート〉で片岡大右様に『ゴシックと身体』をご紹介頂きました。
(一部抜粋)……英国のロマン主義時代と現代を自在に往還する著者の身振りの鮮やかさが印象的
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